糖尿病だと歯周病になりやすい?関係性や歯周病になるその他の要因も解説します
糖尿病だと歯周病になりやすいとの説があります。一見して無関係に見える2つの病気ですが、これは事実です。それでは、糖尿病と歯周病には一体どのような関係性があるのでしょうか。歯周病になる要因を糖尿病以外にも4つ取り上げて、予防策と一緒にわかりやすく解説します。
糖尿病と歯周病は関係性がある?
糖尿病と歯周病には因果関係が存在するとの説がありますが、これは事実です。糖尿病を発症すると歯周病になりやすいため、定期健診を受けるなど歯周病予防を強化しなければなりません。まずは歯周病と糖尿病がそれぞれどのような病気なのか、放置するリスクとあわせて解説しましょう。
歯周病とは?
歯周病とは、歯と歯茎の間に細菌が侵入し、歯肉に炎症を引き起こさせる病気です。初期段階では無症状の場合が多く、気付かないまま進行すると歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かしてしまいます。重症化すると、歯槽骨が歯を支える力を失ってしまい、歯を脱落させるリスクのある恐ろしい病気です。
糖尿病とは?
糖尿病とは、インスリンの作用不足によって高血圧の状態が慢性的に続く病気です。網膜症・腎症・神経障害が闘病の三大合併症で、さらに心臓病や脳卒中のリスクも高めます。合併症により症状が悪化すると、失明したり、四肢の切断を迫られたりなどの重大なトラブルを引き起こすため要注意です。
糖尿病だと歯周病になりやすい
結論として、糖尿病の患者は歯周病にかかりやすくなります。また、反対に歯周病の患者は糖尿病を発症しやすくなるため、あらゆるリスクに警戒しなければなりません。糖尿病から歯周病に発展する流れを見ていきましょう。
<糖尿病が歯周病を引き起こすサイクル>
糖尿病により高血糖状態になる
高血糖が原因で唾液の分泌が減る
口内が乾きやすい状態になり、白血球の機能が低下する
口内の歯周病菌を減らしにくくなる
歯周病菌の増殖が原因で歯周病を引き起こす
反対に、歯周病が糖尿病を引き起こすサイクルは以下のとおりです。
<歯周病が糖尿病を引き起こすサイクル>
歯周病になると炎症性物質(TNFα)が過剰に分泌される
炎症性物質の分泌にともない、インスリンの働きが抑制される
インスリンの作用が減少することで血糖値をコントロールしにくくなる
高血糖状態に陥り、糖尿病を引き起こす
このように、糖尿病と歯周病には密接な関係があります。恐ろしく感じるのは無理もありませんが、逆にいえば、歯周病を防ぐことにより糖尿病のリスクを引き下げることが可能です。このあとは糖尿病以外の歯周病の原因や、歯周病を予防する方法を解説するので、糖尿病を防ぐためにもくわしく確認しておきましょう。
糖尿病以外の歯周病の原因
歯周病は、糖尿病以外にも以下のような原因で発症することがあります。
<糖尿病以外の歯周病の原因>
- メンテナンス不足
- 口呼吸
- 喫煙の習慣
- 栄養不足
このような原因がなぜ歯周病につながってしまうのか、それぞれのポイントをくわしく解説しましょう。
①メンテナンス不足
歯周病は歯と歯茎の間(歯周ポケット)に細菌が侵入して炎症を引き起こすことが原因で発症するケースが多いため、メンテナンス不足には要注意です。とくに歯の表面に付着している歯垢(プラーク)は細菌の塊のようなもので、付着したまま放置すると歯周病を引き起こす原因になってしまいます。
歯垢は水やマウスウォッシュですすいだだけでは洗い流せず、歯ブラシや歯間ブラシを使って物理的に取り除かなければ除去できません。食後や就寝前、起床した後などには必ず口内のケアを行いましょう。また、定期的にクリニックで歯科健診を受診して、歯周病にかかっていないかの確認をおすすめします。
②口呼吸
口呼吸も歯周病を招く原因になります。唾液は歯周病菌をはじめとする細菌を殺菌する作用を持ちますが、口呼吸をすると口内が乾きやすくなり、歯周病菌が活動しやすくなるためです。口呼吸はぜんそくや花粉症などの発症リスクも高めるため、意識的に鼻呼吸へと改善させる必要があります。
口呼吸を改善させるためには「あ」「い」「う」「べ」の動きを大きく行う「あいうべ体操」などの導入が有効です。あいうべ体操をはじめとするトレーニングで舌の筋肉の強化により、舌を正しいポジションに置く癖を付けられるため、舌を突き出した際の圧力で口を開く癖をなくす効き目に期待できます。
③喫煙の習慣
喫煙する人は喫煙しない人よりも歯周病にかかりやすいというデータがあるため、喫煙の習慣を見直すことも歯周病予防に有効的です。タバコには血流を阻害する成分が含まれており、口内の治癒能力を低下させるため、歯周病にかかりやすく治りにくい状態を生み出してしまいます。
また、タバコの化学物質が歯肉からの出血を抑えたり、歯肉を硬くさせたりする可能性があることも問題です。タバコが歯周病の初期症状である出血などを見逃す原因を生み出し、重症化するまで歯周病を発見できない可能性があります。
④栄養不足
栄養不足が原因で歯周病を引き起こすこともあります。歯周病とのかかわりが深い栄養素と、その栄養素がもたらす作用を表にまとめました。
【歯周病とのかかわりが深い栄養素とその作用】
栄養素 | 作用 |
ビタミンC | 免疫力の向上 |
ビタミンB | 血中ホモシステイン値の低下による歯や歯茎の健康維持 |
カルシウム、マグネシウム | 唾液の機能維持 |
α-リポ酸など | 体内の有害重金属の排泄 |
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