拡大床とは?床矯正は大人でもできる?使うメリットやデメリット、正しい使い方を解説
拡大床は、歯列矯正などで使用される器具のことを指しますが、子どもだけに適用される器具ではありません。症例によっては、大人でも適用でき、メリットも多い矯正装置です。
しかし「大人の拡大床って?」「子どものものじゃないの?」と、大人の拡大床について疑問を抱いている方も少なくありません。
そこで今回は、大人の拡大床について解説します。大人の床矯正で使うメリット・デメリットや、正しい使い方についてもくわしく解説するので、ぜひ参考にしてください。
拡大床とは?
拡大床とは、プラスチックのプレートやワイヤーでできた拡大装置のことを指します。主に歯列矯正で使用され、歯がきれいに並ぶスペースを確保するケースに適用されます。上顎や下顎の歯を外側に移動させることで、抜歯せずに歯を並べるスペースを確保できます。
矯正治療で拡大床を使う目的・仕組み
拡大床は、顎の成長を利用できる子どもの歯列矯正でよく使用されますが、症例によっては大人の歯列矯正でも併用をすすめられるケースがあります。顎を広げる拡大床は、叢生(そうせい)の矯正に適しており、顎の骨自体を横方面に広げることによって、歯を抜かずにスペース解消を図ることが目的とされています。
拡大床の種類・費用
拡大床は固定式と取り外しが可能な2種類です。それぞれ特徴や使用方法、費用が異なります。
ここでは、それぞれの特徴や費用について解説します。
取り外し可能な拡大床
顎を拡大する拡大床のなかでもっとも一般的なのは、取り外しができるプラスチック製のプレートタイプのものです。プレートの真ん中に拡大ネジが取り付けられており、自分でネジを調節して装置の幅をゆっくり広げていきます。一日の装着時間は12時間以上で、食事や歯磨きの際は取り外せます。
歯列矯正は基本的に健康保険が適用されないので、拡大床も全額自己負担です。費用はだいたい20~40万円ほどです。ただし、拡大床の他にも歯列矯正の費用や検査代もかかるので、最終的な費用は医院でしっかり確認するようにしましょう。
固定式(クワドヘリックス)
歯並びや噛み合わせの状態によっては、固定式の拡大装置(クワドヘリックス)を使用するケースがあります。固定式のクワドヘリックスは、太いワイヤーでできたバネのような装置を取り付け、ワイヤーの弾力を利用してゆっくりと歯顎を押し広げていきます。
クワドヘリックスの費用はだいたい5~10万ほどです。ただし、取り外しの拡大床と同様に、歯列矯正と併用する場合は、矯正器具代もかかるため注意しましょう。
急速拡大装置との違い
拡大床では顎の骨を広げることはできませんが、急速拡大床は顎の骨を広げることが可能です。急速拡大床は上顎のみ使える装置のことで、上顎の真ん中が癒合しない思春期までの年齢に適用できる装置です。成人してからでも25歳くらいまでは効果が期待できる場合もありますが、症例によっては難しいので医師とよく相談するようにしましょう。
拡大床を使った床矯正は大人でもできる?
拡大床は顎の成長を利用できる子どものことに適用させるのが一般的ですが、大人の歯列矯正に適用されることもあります。大人になってから拡大床だけで歯列や噛み合わせを整えることは難しいため、他の矯正器具と併用して治療を進める必要があるでしょう。
大人が矯正治療で拡大床を使うメリット
拡大床を使った歯列矯正は、さまざまなメリットが得られます。取り外し可能なものであれば、装置をつけていることのストレスを軽減させる効果もあるでしょう。
ここでは、拡大床のメリットについて解説します。
歯を抜く必要がなくなる
歯列矯正では、歯をきれいに並べるためのスペースが確保できないと、抜歯したり歯を削ったりしてスペースを作る必要があります。しかし、拡大床を使用すると歯列を広げられるので、健康な歯を守りながら矯正治療を進められます。
顎の骨格も改善できる
拡大床で矯正する最大のメリットは、歯列だけでなく顎の骨格も改善できることといえるでしょう。とくに、上顎の骨を広げることで鼻づまりなどが解消され、口呼吸から鼻呼吸へ改善を望める可能性もあります。仕事柄目立つ装置に抵抗がある方でも、受け入れやすい装置でしょう。
装置が目立たない
拡大床は、ワイヤー矯正のようなすべての歯にブラケットが付くものではありません。前側にワイヤーが通るため完全に見えないというわけではありませんが、装置が目立ちにくいこともメリットのひとつといえるでしょう。
大人が矯正治療で拡大床を使うデメリット
上記では拡大床のメリットについて解説しましたが、いくつかのデメリットも存在します。治療方法を決める際は、メリット・デメリットの両方をしっかり理解しておきましょう。
ここでは、拡大床のデメリットについて解説します。
使用できる症例が限られる
拡大床は、適用できる症例が限られています。そのため、大人の矯正では拡大床だけで改善できるケースは少ないでしょう。主に叢生といわれる八重歯やデコボコな歯並びに適しているため、それ以外の歯並びでは適用されないケースがあります。
治療期間が長くなる場合がある
取り外し式の拡大床は、自分で装着時間を管理したりネジを調整したりするので、しっかり管理できていないと歯が動かず治療期間が長くなってしまうケースがあります。また、顎が成長している段階で使用される子どもの拡大床に比べ、大人の場合は顎が固まっているので治療が比較的ゆっくり進みます。
取り外し可能な拡大床は、毎日お手入れをする必要がある
拡大床は、毎日装着していると歯と同じように汚れがたまるため、歯磨きのタイミングなどでお手入れする必要があります。不衛生なまま使い続けると、虫歯や歯周病、口臭の原因になることもあるので、面倒でもお手入れはサボらないように心がけましょう。
拡大床(取り外し式)の使い方
拡大床は正しい使い方をすることで、十分な効果を発揮します。間違った方法で装着を続けていると、歯がスムーズに動かない可能性もあります。
ここでは、拡大床の使い方について解説します。
装着の流れ
拡大床は上下で装置の形が異なります。プレートの真ん中にネジが付いているものは上顎用、U字になっているものは下顎用です。それぞれしっかりと装着したあとは、一日12時間を目安に装着するようにしましょう。連続で装着する必要はなく、トータル12時間程度であれば問題ありません。装着時間が短くならないように、寝ている間は必ず装着します。
また、拡大床のネジを調節するタイミングは、医師の指示をよく守りましょう。自己判断で調節するものではないため、注意が必要です。
お手入れの方法
水やぬるま湯ですすぎ、ネジやバネの部分は柔らかい歯ブラシなどを使って汚れを落とすようにしましょう。歯磨き粉は装置に傷をつけてしまう可能性があるため、使用しなくても大丈夫です。
まれに、消毒のために熱湯をかける方がいますが、拡大床が熱によって変形するので、熱湯は絶対にかけないようにしましょう。雑菌が気になる場合は、入れ歯用の洗浄剤などを使用するとよいでしょう。
まとめ
拡大床の種類や使用方法について解説しました。拡大床は歯列の幅を広げることが目的の治療です。症例によって適用されなかったり、適用される装置が異なったりするため、信頼できる医師の元で治療を受けるようにしましょう。
吉祥寺セントラルクリニックでは、各分野の専門医と技工士や歯科衛生士がそれぞれ連携を取り合いながら、最善の治療を提供できる環境を整えています。歯医者が苦手な方でも通院しやすいよう、安全性にも配慮した空間で治療を提供しています。歯列矯正を検討している方、歯並びでお悩みの方は、吉祥寺セントラルクリニックへお気軽にご相談くださいませ。
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