お子様の不正咬合の中でも上顎の骨が大きく成長し過ぎるために上顎前突(出っ歯)になってしまっているケースが、多々見受けられます。このようなケースでは、ヘッドギア(加強固定装置)を使用し、上顎の骨の成長を抑制し、上下の顎のバランスをコントロールして治療します。
ヘッドギアを使用する目的のひとつは、装置の使用により上顎の骨を後方へ引っ張ることです。これにより上顎の骨の成長を抑え、上顎が飛び出し過ぎないようにし、下顎とのバランスを整えます。主に骨格的な上顎前突(出っ歯)の矯正に適応されますが、歯そのものが突出しているようなケースでもヘッドギアを使用することがあります。ヘッドギアを使用することにより、上顎の奥歯を後退させ、歯並び全体を後ろに動かすのです。
ヘッドギア(加強固定装置)を使用する矯正治療のしくみ
上顎の奥歯に固定した装置(1)とフェイスボウという太いワイヤーで出来た装置(2)をつなぎ、フェイスボウを頭部に装着したヘッドキャップに取り付けます。頭部を固定源としてゴムの力で上顎を後方に引っ張り、上顎の骨の成長を抑制させたり、歯並び全体を後退させたりします。
フェイスボウ
ヘッドギアは上顎の骨の成長を抑制しますが、下顎の骨の成長を促すことにより上下の顎のバランスを取る必要がある場合には、バイオネーターを使用します。また上顎の骨の成長を促進する必要がある場合には、フェイシャルマスクを使用します。
ヘッドギアの適応症例
ヘッドギアは、主に成長期のお子様の上顎前突(出っ歯/上顎の歯が前方に突出していること)の治療に適しています。
- 叢生(デコボコ・八重歯)の治療
- 上顎前突(出っ歯)の治療
- 反対咬合(受け口)の治療
- 過蓋咬合(深いかみ合わせ)の治療